【完】素直じゃないね。
「あの時、俺にそう伝えるのだって、高嶺は苦しかったはずなんだ。
それなのに、俺は反対することも、力になってやることもできなくて……。
それくらい、高嶺の意思が強かったから。
高嶺の決断だから、親友なら受け止めるべきなんだって」
「でも、」と宙がつぶやく。
「日吉ちゃんを見てて、気づいた。
俺にだって、高嶺のためにできることはあるんじゃないかって」
「宙……」
「こうして、屋上にだって、ずかずか踏み込んでくれば良かったのに……っ」
悔しそうに声を荒らげる宙。
宙が俺に気を遣ってる、そんな空気を俺は気づいてた。
「俺、ずっと高嶺の親友だと思ってた。
だけど、高嶺の親友になるには、まだまだだ。
だから、俺が本当の親友になれるまで、待っててくれないかな」
そう言い切って、ぐっと俺をまっすぐに見つめる。
初めて同じクラスになった頃から、変わらない、強い光をたたえた瞳で。
明るい金髪が、太陽に反射して、キラキラと煌めいて見えた。
「俺、もう高嶺の心をひとりにしない」
……なに言ってんだよ。
「ほんと、おまえ親友失格だわ」