【完】素直じゃないね。


「うん……」


俺がおまえに、どれだけ助けられてきたかわかってねぇんだから。


俺のことが心配だからって、勉強を頑張って、同じ高校に来てくれたことだって俺は知ってる。


「俺は、宙が隣にいてくれて、良かったって思ってるけど」


「え? 高、嶺……」


「いつもこんな俺に付き合ってくれて、ありがとな」


「……やめてっ!泣くっ!」


宙が、がばっと顔を手で覆う。


「ふは。どいつもこいつも、涙脆すぎ」


思わずふきだす。


なんだ。勝手にひとりで踏ん張ってる気になってたけど、とんだ勘違いだったらしい。

気づけば、俺のまわりにはお人好しがふたりもいた。







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