【完】素直じゃないね。


『すごいよね! 今日、流星群なんだって』


目の前の夜空を、すごい勢いで走り去る、無数の星。


「すご……」


『あたしもたまたま見つけたんだよね。
だれかに今すぐ伝えたくて、だれの願いを叶えてほしいかなって考えたら、高嶺しか出てこなくて。
それで高嶺に電話したの』


つかさも外にいるのだろうか、スマホの向こうからはつかさの声以外、なにも聞こえてこない。


だから、余計に声が耳に響く。

まるで、耳元で直接話しかけられてるみたいに。


『……高嶺が幸せでいてくれなきゃ困るよ』


じんわり、そっと、つかさがつぶやく。


『幸せになってね、高嶺』


そして、その言葉を最後に、俺に返事をさせないまま、一方的に通話が切れた。

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