【完】素直じゃないね。
空を見上げる。
涙でぼやけて、星が見えない。
だけど、今きっと同じ空を見上げてる。
もう、これで終わりにするから。
高嶺を想うの、やめるから。
そう決めて、電話をかけた。
「ふ、う……」
ああ、もう。
なんで、こんなに涙止まってくれないんだろ。
頭の中に浮かぶのは、高嶺との思い出ばかり。
──出会った頃は最悪だった。
でも、あたしのことを何度も助けてくれた。
心の中にすっと入ってきて、あたしがほしい言葉をくれた。
意地悪で、でもなんだかんだ優しくて。
あたしのこと、ちゃんとわかってくれて。
そしていつの間にか、こんなにも好きになってた……。
いっつもムカつくくらいかっこいいくせに、笑うと途端にあどけなくなって。
高嶺の笑顔、ほんとに、好きだったなあ……っ。
「うう……」
涙は、拭っても拭っても、拭いきれない。
高嶺が幸せになりますように。
それ以外、もうあたしに願うことなんてない。