【完】素直じゃないね。


また。懲りずにまた、やってしまった……。


水曜日は、掃除がない。

それだというのに、掃除場所に来てしまった。


充樹先輩と出会ったあの日も、まったく同じことをしでかしたんだったな……。


充樹先輩がお手製の椅子ベッドから起き上がり、あたしの方へにこにこしながら歩み寄ってくる。


「つっちゃん、なにかあったね?
わかりやすいなー」


うん、もうあたしも同感です。


充樹先輩は目の前までやってくると、壁に手をつき、あたしを見下ろしてきた。


そして、静かに訊いてくる。


「告白、うまくいった?」


告白、か。

ほんと、なんでこの人に隠し事ができないんだろ。


きっと、あまりにまっすぐ見つめてくるからだ。


「告白は、しませんでした」


「え? どうして……」


目を瞬かせ、充樹先輩が驚く。

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