【完】素直じゃないね。


あたしは、目を伏せた。


「高嶺のこと、混乱させたくなかったから。
あたしが告白したら、なにかが変わっちゃう気がして」


多分、高嶺は美織さんを大切に思ってる。

そこに恋愛感情がないとしても。


ふたりが幸せになってほしい。


あたしが変に介入したら、ふたりはまた幸せから遠ざかってしまうんじゃないかって、そう思う。


どうしたらふたりは幸せになれるのか、あたしには正直答えがわからないけど。


「そっか」


「でも自分なりに、けじめはつけました」


昨日の高嶺への電話が、自分の答え。

少しずつ、高嶺への気持ちを消化していく方に持っていかないと。


好きって気持ちに、いつまでもしがみついてるわけにはいかない。

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