【完】素直じゃないね。
そんな俺のことを、あいつは見つけてくれた。
本当の俺も、なにもかも受け入れてくれた。
あいつに対して抱く自分の気持ちに気づいて、一旦はあいつを避けて気持ちを消そうとした。
でも、もう手遅れだった──。
「ごめん、美織。
朝陽になってやれなくて、ごめん……」
俺の謝罪に、美織が首を横に振る。
「謝らないで……?
そうさせちゃった私が悪いの。
たくさん頑張らせちゃったね。
でももう私のために頑張らなくていいよ」
「美織……」
美織は必死に笑顔を作って、それを俺に向ける。
守らなきゃと思っていた美織が、今すごく強く見える。
涙で潤む美織の瞳。
今まで、こんなにも強い意思を表していただろうか。
「でも、俺のせいで、兄貴が死んだ。
美織から兄貴を奪った」
胸につかえていた罪悪感が、こぼれる。