【完】素直じゃないね。
と、その時。
キャーッと騒ぐ女子たちの黄色い悲鳴が、背後から聞こえてきた。
振り向けば、高嶺が登校したところで。
下駄箱のところで、あっという間に女子に囲まれる高嶺。
飛び交うのは、やっぱり彼女疑惑に関することばかり。
高嶺がなんて答えてるのかは、喧騒に掻き消されて聞こえてこない。
その姿を見つめながら、ふと、高嶺が校内新聞を見たら、美織さんとの写真だけじゃなくて、あたしと充樹先輩の写真も目にすることになるのだと気づく。
あの写真を見られたら誤解される、そう思うと、言いようもなく胸が締めつけられる。
……って、なんで高嶺の反応なんて気にしてるの、あたし。
もう、高嶺には関係ないことなのに。
その時。不意に、高嶺がこちらを見た。
ばちんと視線が交わり合って、高嶺がなにか言おうとするかのように口を開きかける。