【完】素直じゃないね。
それと、ほぼ同時だった。
「あっ! 私今日日直だった!」
弾けるような声が耳に届いたのは。
突然隣から聞こえてきたその声に、あたしの意識が持っていかれる。
「え?」
隣を見れば、乃亜が焦った顔でこちらを見上げていて。
「ごめんねっ、職員室に日誌取ってくる……!」
「あたしも付き合うよ」
「えっ、いいの?」
「うん」
「えへへ、ありがとう。
つかさちゃんのことで、頭がいっぱいだった〜」
そう言って頭をかきながらはにかむ乃亜。
その可愛さにとろけそうになりながら微笑み返し、それからもう一度高嶺の方に視線を向けると、高嶺は囲む女子たちの対応に追われ、もうこちらを見ていなかった。