【完】素直じゃないね。
だって、高嶺があんまり都合よく解釈できることばっかり言うから。
「離して……っ」
なぜか負けたような気分になって、そう声を張り上げ、高嶺の手を振り払おうとした、その時。
高嶺の顔が近づいてきたかと思うと、脱力したように、額に高嶺のそれが重ねられた。
「……っ」
「俺、まだ足掻く余地ある?」
睫毛が触れ合うほどの距離で、高嶺が弱々しく囁く。
「え?」
「こんなん諦めらんねぇよ、全然」
な、に?
理解できないうちに、額が離れる。
そして高嶺が、あたしの唇をくいっと強く指でなぞった。
「んっ……」
「ここだけは、あいつに許すなよ」
唇に親指を触れたまま、あまりにもまっすぐ見つめてくる高嶺。