【完】素直じゃないね。
ぐっと目を伏せていると、高嶺の呆れたようなトーンの声が聞こえてきた。
「つかさって、ほんと馬鹿がつくくらいお人好しだよな」
なっ、いきなりなに言ってんの?
ムッとして顔を上げ、楯突く。
「なによそれ」
「絶対変な壺とか買わされるタイプだわ、お前」
「あっ、あのねぇっ……」
黙って聞いてれば、いけしゃあしゃあとなにディスってんの!?
噛みつきかかったその時、高嶺の腕が伸びてきたかと思うと、あたしの髪をそっとすいた。
途端、びくっと体が固まったように動けなくなる。
視線が、吸い込まれるように高嶺の瞳に縫いつけられる。
さらりと、高嶺が髪の上から下へ指を通した。
「もっと自分のことも考えろよ。
人に頼ることも大事だって、お前が言ったんだろ」
「高嶺……」