【完】素直じゃないね。
その後ろ姿を見て、ふと思う。
前にも、こんなふうに手伝ってもらったことあったな。
高嶺はなぜか、そういう時どこからともなく現れるんだよね。
「なんだよ、ばーか」
振り返った高嶺が、じっと見つめていたあたしに気づき、ふっと破顔する。
「な、なんでもないっ」
あたしも顕微鏡を持ち、片付けを始める。
それからふたりで作業をし、五分ほどでずらりと並んであった顕微鏡はなくなった。
「よし、終わり」
パンパンと手を叩きながら、高嶺が言う。
高嶺が上の段にしまってくれたおかげで、あたしの負担はだいぶ軽減した。