【完】素直じゃないね。
デスクに座っていた保険医が、扉が開く音に気づいて、こちらを振り返る。
「あら、高嶺くん」
「失礼します。
うちのクラスの日吉が倒れたって聞いて」
すると、眉を下げて笑う保険医。
「まあ寝不足ね。
運んでくれた子にも、昨日寝られなかったなんて言ってたみたいだから」
桜庭のことか。
「次の授業の間は寝かせておこうと思うから、先生にもそう伝えておいてくれる?」
「はい。少し様子を見て行ってもいいすか」
「ええ、どうぞ」
了承を得た俺はカーテンを開け、ベッドに歩み寄る。
ベッドの上に横たわるつかさは、それはもう気持ちよさそうに寝ていて。
うん、これはただの寝不足だわ。
このやろ。人がどれだけ心配したと思ってんだよ。