【完】素直じゃないね。
『寝てるからって、つっちゃんに手出したら許さないから』
……そんなの、知るかよ。
開け放たれていた窓から、秋の風が吹き込んできた。
つかさと俺の髪を、同じ風が揺らした。
つかさの少し乱れた前髪を、そっと直す。
もう片方の手を、ベッドについた。
力をかけたことでギシッと軋むベッド。
そして、なにも知らずに眠っているつかさの寝顔を見つめると。
俺はゆっくりと上体を倒し、頬にキスを落とした。
桜庭と話した時は抑えてたけど、本当は──。
「……勝手に他の男に懐いてんじゃねぇよ」
つかさに出会って初めて、俺は嫉妬という名の感情を知った。