【完】素直じゃないね。


「でもあたし、重かったですよね」


「ううん。つっちゃんをお姫様抱っこできるなんて、光栄なことだよ」


「ふふ、なにそれ」


胸に手を当て目をつむり、使命をまっとうした戦士さながらに言う充樹先輩に、思わずくすりと笑うと。


「つっちゃん」


「ん?」


ふと、充樹先輩がこちらに向かって体を横に倒してきた。


そしてあろうことか、あたしの膝の上に頭を乗せる。


「ちょっ、なにしてるんですかっ……!」


「んー、膝枕♡」


「そんなの見ればわかる!!
それより早く起きて!」


ぐいぐいと体を押し返そうとしていると、充樹先輩があたしの膝に頭を乗せたまま、にやりと意地の悪い笑みを浮かべた。


「あれあれ〜? 倒れた君を保健室まで運んだのはだれだっけ?」


「……うっ」


昨日のことを持ち出されたら、反論する隙もない。


「いいこいいこ」


おし黙るあたしに向かって、満足そうに微笑む充樹先輩。

すっかり充樹先輩のペースに乗せられてしまった。

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