【完】素直じゃないね。
「つっちゃん、だいぶ異性になれたよね。
出会った頃は、目を見るだけでも割とギリギリだったのに」
「うーん、充樹先輩だからじゃないかな」
「え?」
だって今も他の男子には、まったくと言っていいほど接点を作らないようにしてるし。
でもなぜか充樹先輩に対しては、恐怖感も嫌悪感もない。
「充樹先輩って、人の心を包み込んじゃうっていうか」
思ったことをそのまま口にすると、呆気にとられたようにあたしを見つめ。
「そっか。……うーん、そんなふうに言われちゃうと、隠しごとできなくなるな〜」
眉を下げて、少し困ったように笑う充樹先輩。
それから、目に真剣な光を灯し、あたしをまっすぐに見上げてきた。
「俺ね、つっちゃんにずっと黙ってたことがあるんだ」
「黙ってたこと?」
「うん。俺、ほんとは女の子が苦手だったんだよね」