【完】素直じゃないね。


「あたしが委員会だってよくわかったね」


すると、高嶺が呆れたふうに言う。


『教室であんだけ大声で喋ってれば嫌でも聞こえてくるだろ、ふつー』


あ、あはは……。

あたしも友達も、地声大きいんだよね……。


「忙しいのに、わざわざありがと」


『まぁ、忘れ物はただの口実なんだけど』


「え?」


『会いたかったから。俺が』


「……っ」


二階下にいる高嶺は、遠いはずなのに、声はすぐ近くから聞こえてくる。


それは通話をしているからなのか、あたしを見上げる高嶺の瞳が、あまりにもまっすぐだから錯覚してるのか。

< 350 / 409 >

この作品をシェア

pagetop