【完】素直じゃないね。
「あたしが委員会だってよくわかったね」
すると、高嶺が呆れたふうに言う。
『教室であんだけ大声で喋ってれば嫌でも聞こえてくるだろ、ふつー』
あ、あはは……。
あたしも友達も、地声大きいんだよね……。
「忙しいのに、わざわざありがと」
『まぁ、忘れ物はただの口実なんだけど』
「え?」
『会いたかったから。俺が』
「……っ」
二階下にいる高嶺は、遠いはずなのに、声はすぐ近くから聞こえてくる。
それは通話をしているからなのか、あたしを見上げる高嶺の瞳が、あまりにもまっすぐだから錯覚してるのか。