【完】素直じゃないね。
もう全部バレてるってわけか。
俺は観念し、肯定の意を含めて目を伏せた。
──三日前のSHRで、担任から不審者の多発情報を聞いた。
つかさの家がある方面に帰る生徒は、極端に少ない。
街灯が少なく、人通りがほとんどないことも、前につかさを家まで送ったことがあるから知っていた。
俺たちは横並びになって、帰り道へ歩を進め始める。
「最近一緒に帰ってくれないなと思ったら、日吉ちゃんのこと見送ってたんだね」
「あいつ、いっつも他人のことばっかで、自分のこと蔑ろにするから」
自分自身がいつ危険な目に遭うかわからねぇのに。
「優しいな〜。でも、だったらなんで声かけて一緒に帰らないの?」
「あいつには好きな奴がいるし」
送ると言っても、断られるのは目に見えてる。