【完】素直じゃないね。


「日吉ちゃんと乃亜は、いつから仲良しなの?」


運ばれてきたポテトを口に含みながら、宙くんが訊いてきた。


「高一のときかな」


直視はしないように少し目をそらしながらあたしが答えると、オレンジジュースにさしたストローを咥えた乃亜がこくこくと頷く。


「入学式で席が隣で。
そこから話すようになったっていうか」


四年前のあの日のことは、今でも鮮明に覚えてる。


なにせ、人生で一番の衝撃だったのだから。


──高校の入学式当日。

中学からの友達が同じ高校に少なくて、クラスに知り合いがいなかったあたしは、式前なにもすることがなくて、パイプ椅子に座ってぼーっとしていた。


こういう式は、体育館にスタンバイしたはいいものの、始まるまでが長い。


早く始まらないかな、なんて考えていると。


『なんだか緊張するねっ……』


ずっと静かだった隣の子が、突然話しかけてきた。

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