【完】素直じゃないね。
宙くんのトークの回し方がうまかったからか、意外にも話が弾み、ファミレスを出た頃にはもう外は薄暗くなっていた。
「もう、6時だぁ!」
白い腕時計に視線を落とした乃亜が、驚いたように声を上げる。
「楽しかったからあっという間だったなぁ〜」
頭の後ろに手を回し、ニコニコ笑ってる宙くん。
乃亜が隣に並んでいたからか、今日でだいぶ宙くんに慣れることができた。
それに宙くんのまわりを温かくする雰囲気は、あたしの男嫌いを刺激するようなものではなかった。
「俺、乃亜の家に寄っておばさんに会ってくるから、乃亜と帰ることにするね!」
「そっか」
乃亜とあたしは、学校からもこのファミレスからも、家の方向が違う。
でも宙くんが一緒に帰ってくれるなら、乃亜がこんな薄暗い道をひとりで帰らないで済むから安心だ。