【完】素直じゃないね。
「じゃ、あたしも帰るね。また明日」
ひらひらと手を振り、その場を去ろうとしたところで、後ろからスクールバックをだれかに掴まれた。
その反動で、前のめりになりながらも止まる体。
「なんでお前はひとりで帰ろうとしてんだよ」
そんな声が続けて聞こえてきて、振り返れば、それは高嶺で。
「え? なんでって……。
家までそんな遠くないし」
「危ないだろ、女子ひとりで帰るのは。
俺が送る」
「え……」
「つーことで、つかさは俺が送るから。
じゃあね」
あたしのスクールバッグを掴みながら振り返り、乃亜と宙くんにそう告げたかと思うと、強引にあたしの腕を引っ張って歩きだす高嶺。