【完】素直じゃないね。
『危ないだろ、女子ひとりで帰るのは』
高嶺の声が、混乱する頭の中でこだまする。
あぁ、高嶺の言うとおりだった……。
こんなことになるなら高嶺に送ってもらえばよかったと思っても、もう取り返しがつかない。
「よく見たら、かわいいじゃん!」
「そんな怖い顔してないで、俺らと遊び行こうぜ」
「あ、あたし、忙しいので」
怖がっていることを悟られまいと、冷静を装い、なるべく平坦な声で言う。
でも、そんな理由が通用するはずもなく。
「そんな堅いこと言わないで。いいじゃん」
「ほら、あっち行こうぜ」
「楽しーよ?」
あたしの恐怖心を知ってか知らずか、ヤンキー達はニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべている。