【完】素直じゃないね。
「カラオケ行く邪魔してごめん」
「は? カラオケ?」
「さっき、あの女子高生達と行こうって盛り上がってたのに」
「あー、あれか。行くわけねぇっつーの。
お前を送るっつったじゃん」
「え……」
そっか。 高嶺が今ここにいるってことは、高嶺の手を掴んで離そうとしない、あの女子高生達を振り切って来てくれたってことか……。
すると、なにかに気づいたように、高嶺の瞳が意地悪な光をたたえた。
「……あれ? つかさちゃん。
それって、ヤキモチ?」
ニッと笑みを浮かべながらぐいっと顔を近づけ、瞳を覗かれる。
綺麗な顔のあまりの近さに、カァァッと頰が熱を持ち、慌ててバッと視線をそらす。
「っっんなわけないでしょ!」
「とか言いながら、顔まっ赤じゃん。
やっぱりお前って、いじめがいあるよな」
さらっと恐ろしいことを言いつつ、なにが面白いんだか高嶺が笑う。