【完】素直じゃないね。
「高嶺……」
触れるのが、怖い。
けど……慣れたい。
いつまでも苦手でいるわけにもいかないし、高嶺が自分で練習していいって言うなら。
数秒逡巡したあたしは、恐る恐る手を伸ばす。
するとふわふわと彷徨う手を、高嶺が掴んだ。
指を折り曲げるようにして、あたしの指に絡めてくる。
「……っ」
この握り方は、普通の繋ぎ方より密着しているみたいで恥ずかしい。
だけど、いわゆる恋人繋ぎってやつを、高嶺はなんとも思っていないらしい。
あたしの恥ずかしさなんてつゆ知らず、ふっと微笑んだ。
「触れたじゃん。進歩進歩」
「う、うん」
そして、どういうわけか。
「お前の手、熱。緊張してんの?」
「違う、高嶺の手が冷たいの!」
高嶺といると、あたしの体温はほんの少しだけ上がるらしい。