【完】素直じゃないね。


と、その時。


「きゃーっ!」


ギャラリーから、一際大きな黄色い悲鳴が上がった。


さっきまでのざわめきとは、まるで違う。


この歓声の理由は。

「高嶺くーん♡」

スポーツ万能のプリンスだ。


高嶺のチームのバスケの試合が始まると、女子達は食い入るように見つめる。

試合の成り行きではなく、高嶺を。


「高嶺くん、相変わらずすごい人気だね……!」


「ほんと」


感心している乃亜に、あたしは膝に肘をつきながら相槌を打つ。


みんなして、あんな仮面に騙されちゃってさ。


……まぁ、たしかにかっこいいと認めざるを得ないけど。


シュートを決める姿、仲間達とハイタッチする姿、コートを走り抜ける姿。

どの瞬間を切り取ってもかっこいいんだから、なんかずるい。

< 70 / 409 >

この作品をシェア

pagetop