【完】素直じゃないね。
その試合は高嶺の大活躍により、高嶺のチームが勝利を収めた。
高嶺も宙くんもコートにいなくなった途端、散り散りになっていく女子達。
その流れに乗るように、あたしは立ち上がった。
「乃亜、ごめん。
ちょっとトイレ行ってくるね」
「うん、分かった!」
フリータイムはもう少しで終わる。
その前に帰ってこないと。
早足で体育館を出て、だれもいない渡り廊下を歩く。
すると、その時。
「日吉さん、ちょっと話があるんだけどいいかな?」
不意に後ろから声をかけられ、あたしはそちらを振り返った。