【完】素直じゃないね。
『あたしは、本当の高嶺がいいの』
昼休み、高嶺に放った自分の言葉が、頭の中で再生される。
「……ゔっ」
「女に啖呵きられたの、初めてだわー。
しかも押し倒してくるとか」
「〜〜っ!」
完全に元の悪魔な高嶺に戻ってる。
だれかーっ! こいつの頭の中から、昼休みの記憶を抹消してください!
怒りに震えていると、不意に軽く体を倒した高嶺があたしの耳元に口を寄せた。
「ほんと面白いな、つかさちゃんは」
囁かれる、甘ったるい声。
首に、高嶺の息がかかって……。
「ひ、ひゃぁぁ!」
あたしは小さく飛び上がると、高嶺の手を振り払って、ロッカーのドアを開け放ち、外へ飛び出した。