赤ずきんと狼さんの恋物語

私が物心ができる頃には二人は私の近くにはいなかった。
二人の事は長に聞いた。

母が亡き今…私を生かす意味がない。
だから今日、私は村から出ていかなくてはいけない。

周りを見たくなくて、私は赤いずきんを深く被った。

「………っ」

走って家に戻ろうとした時、ドォォンと大きな音が聞こえてきた。

「な、何?!」

周りを見渡すと、長の家の方から黒煙が上がっていた。

「狼だぁ!狼が襲ってきたぞ!逃げるんだっ!!」

走って来た男の声を引き金に、周りの人達が騒ぎながら逃げていく。

「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
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