ダメオトコに恋して、バカ男に恋されて。
「凪ー、大丈夫なの?」
結局意味わかんない展開になりつつあるのは分かったけど、


とりあえず始まる訳だから、莉子の元に戻る。でも、何を言えばいいかなんてわからない。莉子についてきてもらい、私はゴール手間100Mの応援席にスタンバる。

ちょうど女子が始まろうとしていて、
もうすぐだ。

「凪ー?」

「あー。うん。大丈夫。でも、なんだろ。」

「何が?」

「わかんないけど、瑠依くん……走るんだって。」

「そりゃ、赤点になるからねー。」

「うん。」

「だから?」

「わかんない。でも、横山だって、走るよね。」

「さっきからどーした?何かあったの?」

「……。いや、でも、大丈夫。私は決めたから。横山が頑張るなら、私は、横山と付き合う。きっと好きになるよ。」

「凪?」

「今更だよ。」

「……。」

「珍しいけど……。うん。無くなるのが惜しくなったとか、かな?きっと。だから、大丈夫。」

「凪ー?」

「あはは。ごめん。わけわかんないね。でも、本当に大丈夫。横山早いって、本当かな(笑)?」

「まぁーね。あんだけ言って遅かったら笑いもんだわ。」

「だね。そしたら後で殴ってやろ(笑)」


ほら、

大丈夫。

私は笑ってる。

笑って見れるよ。



だから、瑠依くん……。

頑張らなくていいよ。


きっと、

また、いつも通り、笑って

ダメだったー(笑)って軽く流すんでしょ。


お願い、
最後まで、私を惨めにさせないで。


横山に、悩むなと言われた言葉が頭の端に残りながらも

競技スタートの合図が鳴り、
男子の800Mが、今、始まった。
< 133 / 141 >

この作品をシェア

pagetop