ダメオトコに恋して、バカ男に恋されて。
800Mなんて、どのペースが良いとかなんて全然わかんない。今まで、そんなちゃんと見たことなんてないし。

でも明らかにさっきの女子よりは早いペースであっという間に300まできてる。1人が明らかに早い。


でも、スタート後から横山は明らかに早いその子の次の集団にいる。その集団が3人。その少しだけ後ろにまた、4.5人。その後ろは諦めムードにとりあえず走ってる感じで。

瑠依くんは、横山から少し遅れた後ろにいる4.5人の集団についていきながら、残り1週の鐘が鳴らされた。


「凪、横山早いよ。」

「うん。」

「……てか瑠依くんどーした。」

「うん。」

「走ってる。」

「うん。」


考えてもなかったこの状況を目の当たりにして、不覚にも泣きそうになった。

始まる前は笑えてたのに、
涙が目に溜まり、手で拭いたくなるのを必死でこらえた。

一瞬でも見逃しちゃいけない。その位、男子の800Mは早いし、必死で走る2人は見てて、辛そうだった。

残り300まで来ると、ペースが落ちて、集団もバラつきがでた。相変わらず一番前の子は変わらなかったけど、横山は3位についてる。

瑠依くんは、わかりずらいけど、そのすぐ後ろの3人の集団の中最後にいる。

残り200M

ラストスパートなんだろ。

1位の子がさらに早くなる。それを追いかけるように走る2位の子。1.2位はこれできっと確定だ。

2位と3位の差が開き、少しペースが遅れつつも、3位の横山はそのまま順位を変えずに食らいつく。ただ、そのすぐ後ろに2人、そして、瑠依くん。


残り150M。

……横山、ありがとう。

本当にそう思った。

もうすぐ、私の前に来る。

頑張れと応援したい。

横山、頑張ってって……。

なのに……

後ろから、


……。



残り150のカーブから、他の子を抜いて横山の真後ろ……。


瑠依くん……。

やだ……。

やめて。

瑠依くん、

そんなの瑠依くんじゃないよ?

ラストなんて、一番辛いでしょ?

もう、十分頑張ったよ?

ねぇ?

なんで?

ねぇ、

瑠依くん、


瑠依くん……




「瑠依くん!!!!」
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