ダメオトコに恋して、バカ男に恋されて。
* * *

「なんで、そんな所で泣いてんだよ。」

「泣いてない。」

「はぁー。、まぁいいや。疲れたし。」

800Mの後、私はすぐに下の競技場に向かいつつも、泣き顔と何を言っていいのかわからず、1階には降りず、目だたない端の日陰のスタンドに戻ってきていた。

「……横山、お疲れ様。」

「まーね。死ぬかと思ったわ。瑠依が後ろにいるとかホラーだよな(笑)」

「本当に早かったね。」

「だろ。」

「横山……「俺、凪が好き。」

「……ありがとう。」

「でも、おまえ笑ってんのが一番なんだよ。バカみたいに。」

「横山、あんただって、バカじゃん。こんな私の事好きとか言って。でも、かっこいいし、ヒーローだし、いいやつで、
……私、好きになると思ったよ。」

「うん。」

「でも、……ごめん。やっぱりなれない。」

「いいよ。約束だろ。俺負けたんだし。」

「……ごめん。」

私はそのまま、競技場方面の階段を下る。

やっぱり瑠依くんに会いたかった。

会って、

伝えたい事があって……
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