☬あおむしは見た・携帯電話 ❤
「あのー、ぼくはえりさんしゃあないんだけど・・・・」

「おっ、おまえは誰だ?おかしな声を出して」

 へぇー、マイクを通すとぼくの声が聞こえるんだ。

「あのー、ぼ、ぼくは・・・」

「おまえ、えりと一緒にいるのか?えりを出せよ、えりを出せ!」

ぼくはいたたまれなくなって電源ボタンを押し、回線を切ってしまった。


 その後も、ケイタイの山の上から着メロの音が聞こえてくる。

こんどは黒い袋から一番遠くまでころがったケイタイから、けたたましい演歌の着メロが流れ出てきた。

 ブンチャカブンチャカ、ブンチャカチャ・・・。

ちょっとうきうき気分になったぼくは、そのケイタイに近づき通話ボタンを押した。すると、

「おい、昌か?おまえのことをサツが嗅ぎ回っているから気をつけろ!」

とドスのきいた声が。

「あっ、あの、あの、あの・・・」
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