冷たいストーカーに心が乱されています
彼の横に立ち、じっと無言のまま見つめていると。

「何?」

冷たい目線とともに、冷たい言葉もぶつけられます。

さっきの心臓のドクドクが、別の意味で戻ってきました。

…もうっ!あったまきた!

『聞いてもいい?私、碧くんの何?』

冷静にゆっくり問いかけます。

「………。」

何にも返ってきません。

少し早口になりながら。

『碧くんは私の彼氏じゃなかったの?全部勘違い?私のこと興味ないなら、振ってくれてよかったのに!…なんかもういーや。』

惨めな自分に泣きそうになりながら、それでも無表情の碧くんを一瞥すると。

今まで出したことなんてない、低い声色で、

『…勘違いだったかもしれないけど、いちお言っとくね。…別れよう。もう話しかけたりしないから、安心して。』

最後にそう言い、冷たい無表情のままに、私も彼を見返して、走ってその場から立ち去った。

こんなに痕跡も残さず、去れるつきあいは初めてだった。

ケータイさえ削除してしまえば、もう彼と私を繋ぐものは何ひとつなかった。

そう、思っていた。
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