結婚相手の条件
「身勝手?葵は俺との将来を見てくれてる。専業主婦を諦め二人で一緒に生きていくんだ」
だろ?と私を見る秀人
私は何を見ていたんだろう…
家の事を率先してこなしてくれた、
私が忙しくても、文句一つ言わない
だから、私が
秀人に甘えすぎたから…
愛想尽かされたんだと思ってた
けど、…ちがったんだ、
『…知らない、私…貴方なんて知らない。私が知ってるのは、…愛したのは…貴方じゃ…ない』
優しく私の手を包み込むように握られた手を無意識に握り返していた
そのあと、秀人が何を言ったかなんて
あたまに入ってこなかった
私の代わりに、井内さんが何かを話していたが…
私のあたまの中で
どうしよう、という混乱が
新たに生まれていた
知らなかったとはいえ
私という存在が
一つの家庭を壊し、一人の女性の精神を壊してしまったのだ