結婚相手の条件
『お疲れ様です、本日残業申請をお持ちしました。総務課長、お願いします』
そう言うと
部屋ね真ん中の位置に座っていた人が
立ち上がり私の方へ歩いてきた
黒い前髪が7:3に分かれて
しっかり固められている
フレーム無しの眼鏡かと思えば
シルバーフレーム
ダークグレーのスーツに真っ白なワイシャツとスカイブルーのネクタイ
人差し指で眼鏡をクイっと上げ
冷たい目で私を見てきた
「当日の残業申請は午後2時までと決められているはずですが、」
『申し訳ありません、手が離せなかったので遅れました』
そう言って壁にかかっている時計を見れば2時10分
たった10分だろ、と心で毒を吐く
こりゃ、無理かなーと思っていたら
ハンコを押してくれた
「残業が終わりましたら、総務までお知らせください」
あれ?呆気ないと思いながらも
残業できる事にホッとしていた