結婚相手の条件



なぜ別れた彼がアパートの目の前にいるのか、全くわからない
だって、別れてから一度も連絡を取っていないし、ここに引っ越したことすら教えていない



今更…なに?


2階へと上がる階段の前に
立っている秀人
そこを通らないと部屋には行けない
肩にかけている鞄をぎゅっと握る



「葵、少し話したいんだ」


気まずそうな顔をして秀人は話しかけてきた
本当に今更だ


『話?私はないわ、』


秀人を見向きもせず
階段へと足を掛けたが
ガシッと腕を捕まれてしまった


『やだ、離してよ!』


「話がしたいんだっ!」


「なんの話?私はないの、秀人と話すことなんてないし、話を聞くほどお人よりじゃないっ!」



感情が抑えきれず
怒鳴る形になってしまった
その時、階段のそばの玄関ドアが開いた


< 24 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop