結婚相手の条件
目の前にあったはずのテーブルはいつの間にか横にずれていた
そして目の前には
正座をしている秀人がいる
「葵、俺とやり直して。葵じゃないと、やっぱり寂しい。結婚しよう」
そう言って秀人の手には小さな四角い箱
ぱかっと開けられた中には
キラキラと輝く永遠を誓う指輪だ
まさか別れた彼氏から
プロポーズされるなんて思ってもみない
それから何を話したのか
あまり頭に入ってこず
「また、連絡するから」
そう言って
私の唇に触れ帰って行った
残された私は
テーブルの上に置かれた四角いケース
秀人が飲んでいたマグカップを
ただぼんやり見つめていた
別れる時秀人に暴言を吐いて傷つけた
けど、それ以上に傷ついた
それをなかったことにして
前みたいに秀人の隣にいれる?
秀人のこと、まだ好き…?