結婚相手の条件


私と同じように
仕事帰り、定食屋で夕食を済ます人は少なくない
ただ、女一人と言うのは私だけだ
初めは抵抗があったが
おじさんが作る料理の味に魅せられ
お一人様の恥ずかしさなんて全く無い


「葵ちゃん、コレ食べてみて」


カウンターから出されたのは
私の大好きな糠漬けだ
食べる、と受け取る
実家にいた時はよく食べていた
けど、一人暮らしをしてからは全く

自分で漬けようかとも思ったが
婚期が遅れるからやめなさい、と
母に怒られてしまった


『これ食べると、実家を思い出すの』


「あはは、葵ちゃんは結婚したら糠漬け漬けるんだよな!うちの糠、分けてあげるぞ?」



本当?なんて嬉しいことを言ってくれるおじさんに笑いかけながら
糠漬けのキュウリを食べる
やっぱり美味しい、と堪能していたら
おじさんが、「糠漬けだ」と言ったので
視線を向けた


< 4 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop