結婚相手の条件



怖いっ!


なんとか振り切った…と
目の前にアパートが見えてきた
よかった、とアパートの敷地に足を踏み入れた時、
ガシッと掴まれた肩に
『ギャーッ』と叫んだ


「う、煩い…ですよ」


はぁ、はぁ、と乱れた呼吸と声に
振り向くと、井内さんだった


『ご、ごめんなさい!だって…』


「もしかして、痴漢と間違いましたか?…本当に貴方は失礼にも程があります」


すみません、と小さくなってしまう



どうしました?と
アパートの住人が顔を出してしまい
すみません、と頭を下げ
逃げるように井内さんを引き連れ
部屋へと入った



「で?どうして走っていたんですか?もしかして本当に痴漢だと思ったんですか?」


冷ややかな目で私を見てくる井内さんに
再度すみません、と謝った


『最近、つけられていて…』と
加えるように話した


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