甘美なキョウダイ
優越感
悠斗さんと美優さんと初めて顔を合わせた次の週。引っ越しでバタついていた為休んでいた学校に、私はそれはもう浮かれながら行った。
新しくできたあの兄妹の美形を友達に語りたくて語りたくて仕方がなかったのだ。
「おはよう!」
そう大きな声を出して教室に入ると、教室のみんなの視線が一気に私に向いた。
「あ、志保おはよー」
「おはよ」
交わされる挨拶を上機嫌で返して自分の席に荷物を置く。
「……志保、おはよ」
そして隣の席のりっちゃんに笑みと共に「おはよう!」と返した。
「どうしたの?すごい楽しそうよ」
りっちゃんは私の中学校からの友達でとっても仲がいい。そして何でも話を聞いてくれる子なのだ。
「ねぇ聞いてよ!新しい家族のね、兄妹がとんでもない程美形なの!」
「へぇ?」
りっちゃんは無類の美形好きと言うこともあり、確実に私の言葉に目を光らせた。
「一人は社会人のお兄さんで、もうザ王子様って感じ!もう本当かっこよくてさぁ!」
バシバシと机を叩きながら興奮気味に話している私を、「それでそれで?」とりっちゃんは促す。
「妹さんの方は私と同年代なんだけど同じ女とは思えないくらいもう可愛いの!綺麗!めっちゃ綺麗!妖精みたいな美形!」
「え、マジで?」
りっちゃんにどうあの美形を私の少ない語彙力で表せばいいのかわからず、取り敢えず勢いで押していると私の席の前の男子が後ろを振り返って反応してきた。
その言葉にコクコクと頷く。
「もう三浦先輩何て比じゃないくらいかっわいいの。もう見惚れちゃってこれから一緒に暮らすだなんていつか鼻血吹きそう」
そんな私の言葉に次々と男子が反応してきて、「写真は!?」とか「紹介しろよ!」とか言ってくるが私でもまだ仲良くなれてないのにそんな無理なこと言わないでほしい。
私の一つ上の学年の三年にこの学校で一番可愛いと言われている三浦先輩と言う先輩がいるのだが、絶対に美優さんの隣に並んだら霞んでしまうと思う。