甘美なキョウダイ
「…美優」
カフェへ入って店員にも目もくれず長い足を使って怠慢に、けれど素早く美優の元へやって来た悠斗は愛に会釈をして、美優に笑みを向けた。
いつの間にかカフェの席は全て美優の学校の生徒で埋まっており、ほぼ全生徒に認識されている悠斗の登場にキャーキャーと黄色い悲鳴が上がっている。
美優は悠斗の早い到着に気をよくして、更にこの状況は使えると内心で思惑を立てる。そして立ち上がり、悠斗に一歩近づいた。
愛はそんな兄妹二人を楽し気に眺め、一人優雅に紅茶を飲むことに徹するようだ。これから起こる兄弟喧嘩…もとい痴話喧嘩は楽しいものとなるだろう。