政略結婚ですが愛されています
「そっか。お兄さんたちに会うのも久しぶりじゃない? なにかあるの?」
「うん。来週、母さんの誕生日だから、みんなが集まれる今日、お祝いしようってことになったんだ」
「じゃあ、仕方がないね。また時間がある時にでも食べに行こうよ。ボリューム抜群のハンバーグ。一度食べたらやみつき間違いなし」
佐都里は弾む声で言うと、まるでハンバーグを思い返すように目を細めた。
身長一六三センチの私と変わらない背丈なのに、私と違って守ってあげなければと思わせる、まるで人形のようにかわいらしい顔。
色白の肌に赤みが差した頬は艶やかで、思わず触れたくなるほど美しい。
そんな見た目のせいか、社内に佐都里を気に入っている男性は多く、食事に誘われたり休日に遊びに行こうと声をかけられることも多い。
だけど佐都里にとって恋愛は面倒なものでしかないらしく、いつも断っているようだ。
外見のかわいらしさを裏切る食欲と、裏表のない明るい性格も彼女の魅力のひとつで、入社以来仲よくしている一番の親友だ。