政略結婚ですが愛されています
それからしばらく歩いて駅に着くと、路線が違う佐都里と別れ、混み合う電車に乗り込んだ。
つり革を手に立ち、流れる景色を見ていると、家事が苦手で外食が多い佐都里のことがふと気になった。
近いうちにおいしいお料理を作ってあげよう。
佐都里が言うように、たしかに私には、今すぐ結婚できる程度の家事力は身についていると思う。
というのも私は、両親に望まれるまま、たくさんの習い事をしてきたのだ。
お料理や洋裁、そして華道は、この先役立つ機会も多いだろうし両親に感謝している。
けれど、『嫁ぎ先の資産を上手に運用しなさい』と言って証券会社のセミナーに参加させ、株式についてみっちりと学ばせることにはさすがに閉口した。