専務に仕事をさせるには
慌てて車に乗り込むと運転席に乗り込んだ専務から
「ほら! 頑固者!」とストールを渡された。
春色の優しいピンクのストール。
これもさっきのお店で買ったの?
「でも…」
「モデルに風邪を引かれては困る。これは専務命令だ!!」
ちょっと強い口調で言うのは遠慮するであろう私への専務の優しさだろう。
「有難うございます」
私は素直に受け取りストールを肩に掛けると
「うん、似合う」と言ってくれた。
なんだろう…
私の中の専務の印象が凄く変わって来てる気がする。
社に着くと専務は地下駐車場へ車を回した。
「では、私はここで、色々お世話になりました。 このストール有難うございました。 あっそれから、昨晩の事で、もしもの自体になっても責任取れなどと騒ぎ立てたりしませんからご心配なく。 では失礼します」
私は一礼をしてその場を離れる。