専務に仕事をさせるには
2課の部屋の前で深呼吸してドアを開ける。
「おはようございます! 遅くなりました!」
「あー良かったー。 大丈夫だった?」
え?
いつも小煩い小野課長が飛んで来た。
「小さな子供をかばって交通事故に合ったんでしょ?」
プレゼンの為に早く出社して居た小野課長が電話を受けた様だ。
小野課長はシングルマザーで高校生の娘を持つお母さん。
「電話をくれた人が大した怪我は無いけど念の為に検査をするって言っていたから、検査は大丈夫だった? その手怪我したのね? 可哀想に」
「あ、はぁ…」
いや、これは専務を殴って少し腫れたのでシップを貼ってるだけで…
包帯までは大げさだから良いと言ったのだが専務が巻いてくれた。
「でも、良かったわ! 子供の方も怪我1つ無いって言ってたから」
いつも険しい顔をしている小野課長だけど、今は優しいお母さんの顔になってる。
もしかして専務こうなる事を分かってて?
「課長、私、会議室の準備して来ます!」
「会議室の準備は出来てるから、あなたは会議まで少し休んでなさい。 検査で疲れてるでしょ? 食事は食べたの?」
「お腹は空いてないので… 大丈夫です」
「2時の会議の時間まで、まだ時間あるわ休んでなさい」
「はい…有難うございます…」