専務に仕事をさせるには
「大学の時サークルの皆んなとここに泊まったろ?」
ああ、あの時か?
でもあの時は他にも女の子数人居たし渉達は隣のリビングで寝てくれたんだよね。
「あの時は皆んな居たけど、今日は誰も居ないぞ?いつまでもそんな格好で要られると俺も男だからな?襲うぞ?」
「あら怖いオオカミさん?か弱い子羊を食べないで?」
「フン!何がか弱いだ!?さっさとシャワー浴びて来い。 送ってやるから!」
はーいと返事をして投げられた渉のシャツを着てバスルームへ向かう。
そしてバスルームの扉を閉める前に渉にリクエストをする。
「渉、コーヒーブラック!卵はスクランブルが良い!」
「うるせー甘えるな!俺はお前のお抱えシェフじゃない!」とバスルームの扉にスリッパが当たる。
アハハハ、調子に乗りすぎたかな?
シャワー浴びて出てくるとテーブルにはコーヒーとスクランブルエッグとトーストが用意されていた。
「なんだかんだ言っても用意してくれるんだよね?だから渉君だーい好き!」
アホ!と言って渉は煙草の煙と一緒にコーヒーを飲む。
「渉、煙草やめたら?体に良くないし、一緒に居ると私まで副流煙吸っちゃう!」
渉はうるせーな俺の部屋だっつーの、と呟いてタバコを消した。
「ねぇ?昨日の事は上手く処理してよ?私が関わってる事は専務に知られたくないからね?」
渉は分かってると言って再びタバコに手を伸ばし火をつけようとしたところで私と目が合い渉はチッ!と舌打ちして持っていた煙草を握り潰した。
こいつどんだけヘビースモーカーなのよ?
まぁ仕事柄仕方ないのかもしれないけど?
前に渉が話してくれたことが有る。
一人で張り込みをしてるとその場を離れることが出来なくてトイレはペットボトルで済ませると聞いた事があった。
それを聞いた私は『渉の小さいんだ?』と言ったら『バカヤロー!器用なだけだ!』と怒られた事があった。
確かにひとりで何時間も張り込みをしていたら煙草の本数も増えるだろうな… ヘビースモーカーになっても仕方ないか?
渉に送ってもらい着替えを済ませて出勤する。