専務に仕事をさせるには
「専務、渉には調査報告書を持って来るように連絡してありますが、多分渉から話を聞く時間は無いと思います。でも、渉を信じて下さい」
「分かった。彼を信じるよ」
専務達を社で下ろして私はそのまま皐月さんの元へ向かった。
署の前には仁王立ちする皐月さんが待っていた。
私は車から降りるなり深々と頭を下げお礼を言う。
「ご迷惑をお掛けいたしました」
今回はたまたま皐月さんが可愛がってる後輩だったからすんなり手配出来たが、それでも皐月さんは始末書を書くらしい。
「鈴々!免停だからね!?それと」
「分かってます!イケメン揃い合コンセッティングします」
「絶対だからね!?」
「でも、そんなにイケメンが好きなら、なんでゴリラなんかと結婚したんですか?」
「ひとの旦那をゴリラ言うな!!あれでも昔は私のヒーローだったんだ!!」
皐月さんの旦那さんも警察官で大学時代に知り合ったらしいが、お世辞でもイイ男とは言えない。
あの顔でヒーローね…
でも、優しいしく、頼りがいのある人なのは間違いないか…
皐月さんは昔から『イケメンは3日で飽きる』とよく言っていた。
だから、私にも『鈴々ちゃんも付き合うのはイケメンでも結婚するのはブサイクにしな』と言う。
いや、私はどっちもイケメンが良い!
皐月さんから開放されたのは夕方だった。
結構しぼられたな…
でも、仕方ないか…皐月さんに比べたらね…
多分、皐月さんは減俸になるだろう。
私は会議がどうなったのか気になり、署を出て社へと向かった。