専務に仕事をさせるには
「では、今年の秋に発売します2課の商品を紹介したいと思います」
小野課長の商品説明が始まった。
その時会議室の奥のドアが開いて専務が入って来た。
専務?
専務は「遅くなりました」と社長の隣の席に座る。
専務は先程のカジュアルでは無くて髪も後ろへ流し固め、スーツにネクタイという姿に着替えていた。
着替えて来たんだ?
銅鑼息子でもTPOはちゃんと考えるんだ?
キラキラ王子様とは違って、仕事の出来る男って感じでこっちも良いじゃん!
「あら? 要、どうしたの? あなたが会議に出るなんて珍しいじゃない?」
「ええ、ある社員から役員報酬に見合う仕事をしろと殴られましてね?」
ちょっと!?
殴った事まで言わなくてもいいじゃない!?
「へぇ自分の会社の専務を殴るとは大した度胸の持ち主ね?」と社長はクスッと笑う。
「誰です!? 専務を殴るなんて無礼な奴は即刻クビにさせますよ! 木ノ下、人事部長を呼びなさい!」
佐世保常務が後ろに控えている秘書に言いつける。
えっー結局私クビになるの?…
「クビなどしなくて結構ですよ! その人はこの会社の事を思っての事ですから」
「ですが!?」
「殴られた本人が良いと言ってるじゃないですか? それとも私の意見など関係ありませんか!?」
「いえ… 専務が良いと仰るなら私は別に…」
「そうですか? 分かって貰えて良かったです。 小野課長中断させて申し訳ありません」
専務はそう言うと手元の書類に視線を落とす。
フー良かった私のクビは繋がった見たい。