専務に仕事をさせるには

「それでは続けさせて頂きます」

再び小野課長は説明を始める。


そして私はガウンを脱ぐ。

とたんに…


「おー良いねー」

「うんうん良い」

「ちょっと前屈みになって見てよ」


スケベジィジィが!!


専務は何も言わず書類から視線を離し手元に置かれているブラジャーを手に取る。


「君、着心地は?」


「え?」


突然の専務の質問に私は戸惑う。


「君はいつもうちの商品のモデルをしているんでしょ?」


「はい…」


「じゃ、今までの商品と比べてどう? 君はそれを買う?」


「それは…」


口籠る私に専務はまっすぐ視線を向ける。


「私は君の意見を聞いてる。遠慮しないで答えてくれるかな?」


「専務? こんな事!」


声を掛けたのは佐世保常務だった。


「佐世保常務、黙っててもらえますか? 私は、今、彼女と話しています」


専務は佐世保常務を見る事なく彼の言葉を遮断した。


「では、遠慮無く言わせていただきます。 デザインは今まで以上にとても素敵だと思います。 ただ… 生地が今までの物とは随分劣ると思います」


「何を君は言うんだ!? 生地は今までの物と変っていない! モデル如きが知ったふうな事を言うな!」


佐世保常務が苛立ちを見せる。


モデル如き?…

私だって開発部の人間なのに…





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