専務に仕事をさせるには

今まで専務と呼んでいた佐世保常務が専務を名前で呼んだ?

確か佐世保常務は社長の亡くなった旦那様の妹婿。

専務の伯父さんに当たる人で女癖が悪いと社内でも有名。

秘書の木ノ下さんも愛人と噂れさている。


「遊んでる人間でも分かる質の悪さなんじゃないですか!? 社長はこれを許可するんですか?」


すると今まで黙っていた社長が口火を切る。


「瀬戸さんガウンを着て下さい」


社長に言われ私は床からガウンを拾い着る。


「小岩開発部長?」


「はっはい!」


社長からの突然の呼び掛けに小岩開発部長は慌てて立ち上がる。


「書類を見る限りではいつもと変わらない生地を使ってるようですがコストは随分と高くなってる様ですね?」


「それは工場の方から上がって来てますので材料の価格高騰が原因かと…」


「では工場長の話を聞きましょう? 鶴見!」


社長は奥のドアの側に控えて居た鶴見秘書室長に声を掛けた。


すると隣接する応接室のドアを開け


「宮沢工場長お入りください」


鶴見秘書室長が声を掛けると白髪混じりの少し怖そうなおじさんが入って来た。


「宮沢工場長、書類に表記してある物とこの品物は違う様ですが?」と社長が宮沢工場長の方を向く。


「その書類を見せて頂けますか?」


宮沢工場長は鶴見秘書室長から書類を受け取り目を通す。





< 23 / 216 >

この作品をシェア

pagetop